さて、日本地理と一般常識はそれほど難しくないということがお分かり頂けたかと思います。

実際、この二つの科目については「何となく」といったあやふやな知識でもなんとかなるものです。

ところが、日本歴史だけは強烈に難しいといっても過言ではありません。

ちなみに、私はエデュソル・イングリッシュを始める前は予備校や塾の講師をしていました。

教えていたのは、英語以外にも日本史・政治経済・現代社会などを教えており、早稲田や慶応対策なども担当したことがあります。

その私が通訳案内士の試験を受けた時に、日本史だけは本当にタフな試験だなと感じるものがありました。

先ほどの免除規定を見ていただいてもお分かりだと思われますが、同じセンター試験を受けて免除してもらうのに、一般常識は現代社会で8割の得点を確保しなければならないのに、日本史はたった6割でOKとなっています。

大学入試センター試験というのは、平均点が6割になることを目標として作られていますので、現代社会は平均以上の知識は必要だが、日本史は平均並みで大丈夫だといっているのですから、それだけ通訳ガイドの日本歴史の問題は難しいとお分かり頂けるでしょう。

では、その日本歴史がなぜ難しいのかというと、出題範囲が「高校日本史」だからです。

日本地理は「中学地理」の知識とその応用でしたが、日本史は高校レベルなのです。

しかも問われるのは、現代社会のように日常生活で得られるような知識ではありません。

通訳ガイドになるための試験ですから、日本文化史からの出題になるのですが、文化史というのは、政治の歴史や経済の歴史などのいわゆる通史を学んだ後に文化史を押さえるというプロセスをたどらないと、なかなか頭に入ってこない部分なのです。

ですから文化史というのは、受験生がなかなか覚えられず、難関大でよく出題されるのですが、そんなところを通訳ガイドの日本歴史は出題してきます。

というわけで、邦文試験で失敗しないために大切な戦略として、日本歴史・日本地理・一般常識のそれぞれの対策の比重を同じにして学習するのではなく、それぞれの比率を「日本歴史=5」:「日本地理=3」:「一般常識=2」ぐらいの配分にして、対策を立てて行くことをお勧めいたします。

では、そんな難しい日本歴史の具体的な対策の立て方について見て行きます。

まずは、中学レベルの日本史の流れをしっかり押さえることです。

最初は、縄文時代から始まって、平成時代までの歴史の区切りを順番通りにおさえることです。

「縄文・弥生・古墳(大和)・飛鳥・奈良・平安・鎌倉・室町・戦国・安土桃山・江戸・明治・大正・昭和・平成」となります。

次にそれぞれの大まかな特徴を押さえます。

縄文は前中期は「採集と漁猟による生活」だったということ。つまり、木の実や草を取って食べたり、魚や動物を捕まえて食べていましたという生活です。この頃は特に大集団での生活などはなく、食べ物を求めて移動したりしますから、定住しません。

弥生になると、縄文末期から行われていた「稲作による定住型ムラ社会」が出来上がります。農作業は集団で行わないと難しいので、集団化によってまとまりができます。また農地の恵みによって食物を得ているので、定住化していきました。
一方で集団間の争いも発生し始めました。この結果、政治的指導者のようなリーダーが生まれます。代表的な人物は「卑弥呼」ですね。

古墳時代は、「日本として1つの国にまとまってきた時代」と考えることができます。縄文時代や弥生時代まではバラバラだったのが、古墳時代になると大王(おおきみ)によって、大きなまとまりができ、大和王権が成立します。
大和王権の勢力図は、北は関東あたりまで、南は九州北部までと考えられています。

飛鳥時代は、「仏教が日本に伝えられ、日本独自の神道と大陸伝来の仏教の二つの信仰によって国を統治し始めた時代」ととらえてください。この仏教導入を推し進めたのが、いわゆる「聖徳太子(厩戸皇子:うまやどのおうじ)」と蘇我氏ですね。
そして、この頃から大王は天皇と呼ばれる元になる家系の流れで統一化され、飛鳥後期には神格化されていきます。つまり、天皇という国王が絶対的な存在として政治権力を持つようになり始めた時代が飛鳥時代ということです。

奈良時代は、「宮中を奈良の平城京に定めて、仏教が国家による独占管理におかれたので、僧侶の権力が高まった時代」と考えておくとよいでしょう。また、飛鳥時代に蘇我氏の権力集中をはばんだ中臣氏が藤原氏と名を改めて、天皇の補佐役として貴族のトップになるための競争を始めた時代です。

平安時代は、3つに分けることができます。まず前期は「天皇が自ら政治を行うことができるほど天皇に力があった時代」、中期から後期にかけて「天皇の補佐役の藤原氏が外戚関係を利用して、天皇よりも実質政治権力を持つに至ったが衰退し、その後に天皇を引退した上皇(法皇)が、実質権力者となった時代」が起こり、末期は「軍事部門を担当していた貴族らが武士となって、政治権力をにぎった時代」となります。
前期のように、天皇がみずから政治リーダーとして権力をふるうことを「親政」と言います。しかし、中期の藤原道長のときには、道長が娘を天皇の妻とし、その間に生まれた孫を天皇にして、政治実務を代行するという形で権力をにぎりました。
その後、藤原氏が持っていた私有地(荘園)を天皇が没収したことから、藤原氏の権力が衰退し、代わりに引退した天皇である上皇が、父親の地位を利用して、実質的な経済力や政治権力を握って統治するという時代に入ります。
ところが、上皇の統治に逆らう僧兵たちが反乱を起こします。それを軍事的にけん制するために、平氏、源氏と呼ばれる貴族上がりの武士を上皇は利用しました。僧兵の力を押さえることはできましたが、逆に軍事力を持った武士が上皇を差し置いて政治権力を握ることになります。これにまず成功したのが平氏(平清盛)ですね。

鎌倉時代は、「武士(源氏)が初めて政治権力者となり統治したものの、時代とともに衰退した時代」ととらえましょう。
ポイントは宮中は平安時代と同じように現在の京都におかれましたが、武士たちは鎌倉に中央政府をおいたということで、中心が2つあったということ。
そして、それに伴って鎌倉で仏教(特に禅宗)が発展しつつ、全国的に仏教が広まって、浄土宗・浄土真宗・日蓮宗といった新仏教が生まれたということです。
最後に、実質政治権力者が、征夷大将軍 → 執権 → 連署と権力者の地位が次第に下っていったということです。
(これは誤解を恐れずに極端な例を挙げると、会長(天皇)の代わりに政治を行っていた社長(征夷大将軍)の力が衰えたので、専務(執権)が実質権力者になったが、何代か経つと専務もやる気のない人がその地位に就いたので、最後には常務(連署)が権力者になっていた、というようなものです。)

室町時代は、「引き続き武士(足利氏)が政治権力者となり統治したものの、土地問題や一揆などのもめごとで日本全体が分裂した時代」です。
室町時代は、最初のころは征夷大将軍である足利家を中心に、三管領・四職(さんかんれい・ししき)と呼ばれた有力武家らによって統治されていたのですが、次第にこれらの武家が相続問題や土地問題などで崩壊し、それに伴って、日本各地で民衆による一揆が発生します。この混沌状態が次の戦国時代につながっていきます。

戦国時代は、「日本全体をまとめる独占的な権力を持った人がおらず、各地でリーダーが生まれた時代」です。
ここは特に説明しなくても、織田信長や武田信玄、上杉謙信、毛利元就など有名な地方のリーダーがいたことを思い出せば、どういう時代なのか分かると思います。

安土桃山時代は、「織田信長によって日本の中央部がまとまってきたものの、途中でなくなり、その後を部下である(後の)豊臣秀吉が天下統一を達成した時代」です。
ここも特に説明する必要はありませんが、豊臣秀吉が天下統一を成功させた要素の中で、最も重要なポイントをしっかり押さえておくことが大切です。それは、鎌倉時代から存在していて、室町時代に大問題となった土地問題をすべて解決したということです。要するに、ある土地の管理者が誰なのかでもめたり、適当に管理されていたものを、一気に解決して、全国の田畑にきちんと生産者を割り当てることができたということです。これにより生産性が上がって、税収も一気に増やすことができ、もめごとの発生も起さなかったということが大切です。

江戸時代は言うまでもなく、武士である徳川家が豊臣家の後に政治権力をにぎり、政治の中心を江戸に設置して統治した時代ですが、これは4期に分けることができます。
第1期は「家康~3代将軍家光までの武断政治期」です。要するに、逆らえば武力で叩き潰すということで、軍事力を使って政治体制を強制的に確立した時代です。
第2期は「4代将軍家綱~7代将軍家継までの文治政治期」です。これは儒教の教育を徹底し、反乱を起こさせないようにする精神を培うことで統治をおこなった時代です。またとても景気の良い時代でした。
第3期は「8代将軍吉宗~12代将軍家慶までの改革期」。いわゆる3大改革(享保・寛政・天保)が行われた時代で、前の好景気の反動で経済状態が悪くなり、それをなかなか止めることができないという状況に陥った時代です。
第4期は「13代将軍家定~最後の15代将軍慶喜までの幕末期」です。

あとは近現代に入りますが、ここからは西洋文化を取り入れて、外国との交渉や戦争を経て、今に至る流れをとらえて行くことになります。

以上の基本を押さえつつ、『超速!最新日本史の流れ』、『超速!最新日本近現代史の流れ』という本を読んでください。
ここに書かれている日本史の流れを押さえたら、本丸である文化史をおさえていきます。
文化史も『超速!最新日本文化史の流れ』という本がありますので、この内容とゴロを押さえて、具体的な作品名を押さえましょう。

ここで大切なことが一つ!
それは、「通訳ガイドの日本歴史試験には写真問題が出る」ということです。
つまり、有名な作品や建築物の写真などが出題されて、それが何なのかを当てさせるという問題を問われます。
ということは、事前に資料集などで作品の写真に目を通していないと、答えることができません。
なので、日本史資料集も1冊購入しておいた方が良いでしょう。

作品名だけでなく、写真もセットで抑えるということは重要なポイントですから、絶対に面倒くさがらずにきちんと勉強しましょう。